2005年10月30日更新


 

☆ キリスト者のための内観瞑想とは。
イエスは、他人の目にある埃を取ろうとする前に自分の目にある丸太を取り除けなさい。そうすれば、正しく見ることが出来るだろう、といわれました。また、神を愛するといいながら、目に見える兄弟を愛さなければ、それは偽りです、と弟子ヨハネも書いています。
そこで、内観(自分の内を観る)することによって、自分に向き合って、ありのままの自分を正しく知るのです。自分の目にある丸太が何であるかを知り、多くの人々から世話を受けて生かされている(愛されている)客観的事実を知り、謙虚さをもって、お返えし(愛する)の人生を生きようとするのです。
様々な心理学の教えるところによると、今ある私は、「三つ子の魂、百まで」といわれていますように、子供のころから両親の影響を強く受けて、人格形成がなされ、性格というものが出来上がっているのです。「分っちゃいるけど(頭で)、(からだや習慣によって)やめられない」という様々な闇み(病み)を抱えもっているのも私たちの現実です。そこで内観では様々な自分の現象の底にすでにある自己の根っこを知ろうとします。もう一度小さいころからの自分を読み直すのです。正しく自己理解することにより、自己との和解が生じ、他者との共生が生まれてきます。
興味と関心のある人ならば、だれでも内観をなさいます。本来の宗教的関心から、矯正(教育)的領域や治療的領域から・・・というように、様々な動機・目的によって内観をなさいます。心理療法としても最近は目立ってきていますが、病気治療というよりも生き方の問題として、自分を正しい方向へ持っていきたいために、内観なさる人も大勢います。
内観と祈り。
内観することにより深い自己理解を得ます。生かされている自己、愛されている自己、包まれている自己を再発見します。他方、自己中心的で、我欲にしたがって生きている自分の姿の気付きともなります。こうした事実を前にして、内観者は打ち砕かれたこころ(心の貧しい人)へと至ります。その深い渕から謙虚に「主よ、憐れんでください」との叫びにいたります。この罪人の祈りこそが、主の聞き入れてくださる祈りでしょう。内観は、こうした正直で踵が地に着いた祈りへと促がされます。
具体的には。
今ある内観は浄土真宗の吉本伊信師が、誰にでも出来るように開発したものです。それを祈り(ミサ)と赦しの秘蹟の枠内で司祭が指導する、キリスト者向けに手直ししたものです。一週間、屏風の中にこもり、三項目(@してもらったこと、お世話になったこと、愛されたこと Aお返ししたこと、してあげたこと B迷惑かけたこと)の枠組みで、年代順に、母親から始まり、身近な人に対する自分がどうであったかを調べるのです。朝、5時半の起床から夜9時半の就寝まで、ひたすら自分はどうであったかを調べます。トイレ、入浴、(会場により食事は食堂でとることもありますが)以外の時には、屏風から出ないで、完全な沈黙の中で自分に向き合います。一時間半に一回ほど同行者(面接神父)が来て、調べの報告(5分以内)を聞いてくれます。こうした面接は一日、7回から9回ほどあります。
心のいほりとは。
内観は、自分の内に内住なさる慈しみの神と、我執にまみれた自己へのまなざしを持つように促しています。集中内観が済んでも、日常生活の中でいつでも自分の「こころの庵」にもどり、狂気の生き方から正しい生き方へと戻します。普段から心の中に「屏風(庵)」を置いて生活できるように仕向けています。それで、当センターは「こころのいほり 内観瞑想センター」と名付けられています。
内観・黙想・瞑想とは。
内観は愛され生かされている自己、自我にまみれた自己を発見する道です。そして感謝と報恩の人生を送る道です。キリスト教会で「黙想」といわれている祈りの道は、聖書の言葉を想い巡らし、神様のご計画を深く理解し、実践してゆく道です。しかし、それはまだ「考察的」、つまり、分別知による祈りです。初歩的な道です。アヴィラの聖テレジアは、これらを『霊魂の城』の中では第一から第三住居に当てはめています。意識を調える段階です。祈りが深まるには、「考える」方法から「味わう」方法を通ります。これは、能動的な祈りから、より多く受動的な祈りとなっていきます。他力的な要素(神の恵みの働きに委ねていく)がより強まっていきます。そしてさらに脱自の道へと深められていきます。観想、瞑想と呼ばれる祈りの道は、これらの知性による思考分別による「対象的な合理的思惟」から「脱自」「離脱」への道を通ります。「私が」という「我」の「無」になった状態へ向かうのです。まさに、内観は「我執」を見逃さずに、様々な呪縛やとらわれから自由になっていかせます。内観の行き着くところは「観想・瞑想」にあります。
参加するには。
後ろの予定表のページを見てください。各地で毎月行っております。手紙で問い合わせて、申し込みをします。一週間、6泊7日間です。参加費用は全部で6万円。
体の調子が悪くて、坐れないのですが。
膝が悪くて坐れないのですが、長時間坐れないのですが・・・体の調子がコレコレデで・・・などの場合は、それに応じた工夫をして、健康に無理がなく内観してもらいます。申し込み時に事情を説明してくださるといいでしょう。ご安心ください。

お問合せは手紙かFAXでお願いします。
〒572-0001 大阪府寝屋川市成田東町3-27
「心のいほり 内観瞑想センター」
事務局代表:藤原直達神父
FAX:072-802-5026 携帯:090-2401-9374
E-mail:fujinao1944@nifty.com